将来の夢
小さいころから、早くおばあちゃんになりたいと思っていた。
おばあちゃんというものは何にも追われることなく、人生、ひとしきりの仕事を終え
死ぬのを待つものだと思っていた。
仕事、結婚、出産、子育て、孫を愛でる。
その様な工程を経ておばあちゃんになる。
でも違うんだ。
わたしは小さい時からずっと
今、おばあちゃんになりたいと思っていたんだ。
二十歳の今でも、それを強く望む。
最近、同期のみんなはいい会社に就職するため何かしらの準備をしたり、
周りを見て焦燥したり、張り切ってる人もいる。
だけど私は、会社に入るということが分からない。
なぜ?なぜ?なぜ?生きるためにはお金がなくてはならなくて、お金を得るためには労働しなければならなくて、勤労の義務なんて言葉も小学生で習うんだけど、なぜか、なぜ働くのかわからない。
じゃあ死ねばと言われればそこまでで、なんの反論もないよ。
お金はほしくない。社会から認められたいという欲もない。
先週だったかな、インターンシップの説明会があったんだけど
そこで先生みたいな人が言うんだ。
「人事の人も、いい人材を早く確保しようと必死なんです。」
いい人材、確保、?
言っていることは分かるんだけど
全然ピンとこないんだ。
だって自分のことを「人材」だなんて思ったこともなかったし、これからも思わないもの。私はきっと、会社に確保される人間じゃないんだ。
確かに周りの友人は会社にも、社会にもとても貢献しそうないい人材だ。
私が彼らより優れた仕事ができるなんて思えない。
他をあたってください。
だから会社には入れないなって思ったんだ。
でも、生きていく分のお金はないとだめだよね。
今は、その方法を考えているの。
わたし、早くおばあちゃんになりたいな。